TPMでは小さすぎる。かといってPMでは少し大きい。エヴリンを検討されるとき、この二択で足踏みされていた方は少なくないのではないでしょうか。2025年秋冬コレクションで登場したエヴリン23は、その間を埋める新サイズです。ただ、実物を手に取ってみると、単なる中間サイズという言葉では収まりきらない魅力があります。今回はそんなエヴリン23に着目して、その魅力を紐解いてみたいと思います。
23が「ちょうどいい」と感じる、4つの理由
まずは実物を並べてみてみましょう。左からTPM(16)、23、PM(29)の3サイズです。
こうして見ると、23の存在感が絶妙であることが伝わるかと思います。なぜこのサイズが程よい大きさと感じるのか、4つの観点から見ていきます。
薄いのに、長財布が入る
エヴリン23のマチは約5.5cm。そもそもコレクションとしてもかなり薄いバッグです。
しかしながら、エヴリン23のサイズ感であれば、長財布・スマートフォン・ポーチといった日常の必需品が無理なく収まります。TPMでは流石に三つ折り財布が限界で、ここは大きな違いといえるでしょう。
エヴリンのような薄いバッグは容量が犠牲になりがちです。逆に容量を求めればマチが厚くなり、身体から浮いてしまう。この二律背反を、エヴリン23はかなり高い次元で両立させています。
横に広い面で容量を確保し、ショルダーバッグのマイナス点になりうる厚みは抑える。エヴリンならではのフラットなフォルムだからこそ成立している設計といえるかもしれません。
美しく身体に沿うショルダーとしての完成度

ショルダーバッグにおいてマチが薄いことは、持ったときの快適さに直結します。
厚みのあるバッグを斜め掛けすると、どうしても腰のあたりで前後に動いてしまいます。歩くたびに揺れる、椅子に座ると邪魔になる。そうした煩わしさが、薄いバッグにはありません。
エヴリンは1978年の誕生以来、珍しく2wayではなくショルダー専用を貫いてきたコレクションです。ストラップは太めに設計され、身体に沿うフォルムが追求されてきました。
なかでも今回焦点を当てるエヴリン23は、その設計思想をそのまま受け継ぎながら、実用的な容量を手にしたサイズといえます。薄さは制約ではなく、ショルダーバッグとしての完成度を支える要素なのです。
実は貴重?長財布が入る薄型ショルダーバッグ

改めて考えてみると、この条件を満たすエルメスのバッグは多くありません。
ボリードやピコタンロックは、ハンドバッグとしての性格が強いコレクションです。ショルダーストラップが付くモデルもありますが、基本は手に提げる、あるいは腕にかけるバッグといえるでしょう。
コンスタンスは斜め掛けができますが、18や24というサイズでは長財布の収納に余裕があるとはやや言いにくいのではないでしょうか。
- 斜め掛けができる
- 長財布が入る
- なおかつ薄い
この三つを同時に満たすとなると、選択肢はぐっと絞られます。エヴリン23は、その希少な条件をきれいに満たしてくれる一本です。
両手が空いた状態で、必要なものはすべて持っている。そんな身軽さを求める方には、ぴったりのサイズ感といえるでしょう。
背面の外ポケットが効く

エヴリン23には背面に外ポケットが設けられています。スナップボタンで留める仕様です。
ICカードやスマートフォンなど、すぐに取り出したいものを入れておけるため、日常の使い勝手が大きく変わります。改札の前でバッグを開ける必要がない。これは毎日のことだけに、想像以上に効いてきます。
なお、この外ポケットはエヴリンPMにも備わっていますが、TPMにはありません。TPMの背面はフラットな一枚革で仕上げられています。

あわせて、エヴリン23とPMはショルダーストラップの長さ調節が可能です。TPMは固定仕様のため、この点も違いになります。
つまりエヴリン23は、単にTPMを少し大きくしたサイズというよりも、PMの実用性をそのままコンパクトにまとめたサイズと捉えるほうが実態に近いといえるでしょう。

なお内部は仕切りのない一室構造で、内ポケットもありません。余計なものを削ぎ落とした、いかにもエヴリンらしい作りです。
実測サイズとスペック

ここでは弊社吉川質店で採寸した数値をまとめてみます。
| TPM(16) | 23 | PM(29) | |
|---|---|---|---|
| 横幅 | 16cm | 23cm | 29cm |
| 高さ | 18cm前後 | 24cm | 26〜30cm前後 |
| マチ | 4.5cm前後 | 約5.5cm | 7.5〜9cm前後 |
| 収納の目安 | 三つ折り財布・スマートフォン程度 | 長財布・スマートフォン・ポーチ | B5サイズ・ペットボトルも収納可 |
| 背面外ポケット | なし | あり | あり |
| ストラップ調節 | 固定 | 可能 | 可能 |
※ 弊社および流通品を実測した数値です。
なお、エルメスはエヴリン23の正式な仕様を公開していないため、メディアによって数値に幅があります。上記は弊社および流通品を実測した数値となりますので、参考としてご覧ください。
エヴリンのサイズ展開全般や、Hパンチング・カラー展開といった基本情報については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
なぜ今まで存在しなかったのか

ここまでエヴリン23の魅力についてご紹介しました。
ここからは、これほど使いやすいサイズが、なぜ今まで存在しなかったのかという点を、独自の視点で深掘りしてみたいと思います。
エヴリンのサイズ変遷
まず押さえておきたいのが、エヴリンのサイズ展開の歴史です。
1978年に誕生した初代エヴリン(エヴリンI)に用意されていたのは、PM(29)とGM(33)の2サイズでした。TPM(16)は含まれていません。
その後MM(30前後)やTGM(41前後)が加わり、サイズは上方向へ伸びていきました。つまりエヴリンは、もともとPMを基準に、そこから上へ展開していったコレクションだったということになります。

TPMが登場したのは、それよりもずっと後のことです。ミニバッグの流行と歩調を合わせるように市場へ浸透していきました。
エヴリンのPMとTPMの空白は、最初からあったものではありません。ミニバッグの流行によって誕生したTPMのラインアップの結果、PMとの間に大きなサイズの穴が空いたのです。
TPMが空けた13cm

エヴリンTPMは横16cm。エルメスのミニバッグ帯を見ると、実はこの数字が突出して小さいことがわかります。
| エルメスのミニサイズ帯 | 横幅 |
|---|---|
| コンスタンスミニ | 18cm |
| ボリード1923ミニ | 18cm |
| ピコタンロックPM | 18cm |
| ミニケリー | 19cm前後 |
| エヴリンTPM | 16cm |
これらを鑑みるとエルメスにおける「ミニ」の標準は、おおむね18〜20cmの帯にあるように捉えられます。
しかしエヴリンTPMはそれより一段小さい16cm。そしてすぐ上のサイズはPMの29cm。2サイズ展開の両者の間には13cmもの開きが生まれました。
ボリード:18・25・27・30・31と数cm刻み
ケリー:25・28・32・35と3〜4cm刻み
バーキン:25から5cm刻み
この飛び幅は、エルメスの他コレクションと比べても異例です。
ミニバッグブームに応えて小さいサイズを投入したものの、既存のPMとの距離が空きすぎてしまい、エヴリン23はその穴を埋めるために生まれた「ちょうどいいサイズ」だと考えると、登場の必然性が見えてきます。
フォルムがもたらす容量の落差

もうひとつ、エヴリン特有の事情もあるのかもしれません。
それは先述したマチの薄さです。エヴリンは横に広がるフォルムで、マチで容量を稼ぐ構造になっていません。
| コレクション | マチ |
|---|---|
| エヴリン23 | 約5.5cm |
| コンスタンス24 | 7cm前後 |
| ボリード25 | 13cm前後 |
| ピコタンロックMM | 18cm |
ピコタンロックMMは横22cmとエヴリン23とほぼ同じ幅ですが、袋のような構造になっているためマチは18cm。実に3倍以上あります。
マチが薄いということは、サイズを縮めたときに容量が急激に落ちるということでもあります。
両者のサイズ間で横幅は7cm増えただけですが、容量は倍以上に跳ね上がります。
エヴリンのようなフラットなフォルムでは、わずかな寸法の差が収納力を大きく左右するのです。TPMが「思っていたより入らない」と感じられやすいのも、この構造が理由かもしれません。
なぜ23cm?

ここで疑問が残ります。穴を埋めるだけなら、他コレクションの標準である18cmや20cmでもよかったかもしれません。
しかしながら、エヴリンにおいては23cmを採用しています。
これもエヴリン特有の構造ゆえなのでしょう。マチの薄いエヴリンにおいては、たとえ18cmや20cmといった展開であっても、長財布が入るかどうかは微妙なライン。TPMの延長にとどまり、「もう少し入るミニバッグ」で終わってしまいかねません。
今回の23という数字は、エヴリンのフォルムが長財布の収納を含めた実用性を確保できる最小ラインだったのかもしれません。もちろんこれは推測に過ぎません。気になる方はぜひ一度お手に取ってそのサイズ感を実感してみることをおすすめします。
ミニバッグブームのその先

もうひとつ、時代背景も無視できません。
近年のミニバッグブームは、キャッシュレス化による財布の小型化と歩調を合わせて広がりました。現金を持ち歩かなくなり、カードとスマートフォンだけで出かけられるようになったからこそ、バッグも小さくてよい、というのが一般的な流れです。
ただ、実際の荷物は思ったほど減っていないのかもしれません。スマートフォンは年々大型化し、日傘や水筒を持ち歩く方も増えました。ミニバッグを選んだものの、結局サブバッグを併用している。そんな方も多いのではないでしょうか。
今回のエヴリン23は、ブームに乗って小さくするのではなく、実用に立ち返って必要な大きさを見直した結果のサイズなのかもしれません。
ミニバッグの延長ではなく、実用性を担保した日常使いのバッグとしての最適解。そう捉えると、このサイズが登場した意味が少し違って見えてきます。
どのサイズが正解?

ここまでの内容を踏まえて、改めて選び方を整理してみます。
(16)
エヴリンTPM の在庫を見る
エヴリン23 の在庫を見る
(29)
エヴリンPM の在庫を見る
判断に迷われる場合は、普段お使いの財布を基準にしてみてください。長財布を使い続けるなら23以上、コンパクトウォレットに切り替えてもよいならTPMも選択肢に入ってきます。
まとめ

いかがでしたか?今回は2025年秋冬に登場したエヴリン23について、その魅力と誕生の背景をご紹介しました。
薄いのに長財布が入る。身体に沿って快適に持てる。外ポケットで日常の動作がスムーズになる。実物を手に取ってみると、単なる中間サイズという表現では足りない完成度があります。
もともとPMから始まったエヴリンに、ミニバッグの流行がTPMをもたらし、その結果生まれた空白を23が埋めた。そう振り返ると、このサイズはブームの反動ではなく、実用への回帰として登場したようにも思えてきます。検討される際の参考にしていただけたら幸いです。
吉川質店オンラインショップでは、エヴリンをはじめとした多数のエルメスアイテムを取り揃えております。東京・渋谷および外苑前には実店舗も構えており、実物をご覧いただくことも可能です。ぜひお気軽にお立ち寄りくださいませ。
※着用モデル画像は、AI技術を用いて生成されたイメージ画像を含みます。
※本記事の寸法は弊社在庫および流通品を実測した数値をもとにしています。個体差や計測方法により多少異なる場合がございます。
※サイズ展開の背景に関する記述には、弊社の見解に基づく推測が含まれます。
※在庫状況は日々変動いたします。最新の情報はオンラインショップにてご確認ください。
Collection at Yoshikawa
吉川質店オンラインショップでは、エヴリンをはじめとした厳選エルメスアイテムを多数取り揃えております。ぜひお気に入りの一点をお探しください。
FREQUENTLY ASKED QUESTIONSよくある質問
エヴリン23はいつ登場したサイズですか?
2025年秋冬コレクションで登場した新サイズです。従来のTPM(16)とPM(29)の間を埋めるサイズとして、13cmもの空白があった両者の中間に位置づけられます。
エヴリン23に長財布は入りますか?
入ります。マチは約5.5cmと薄めですが、横23cm×縦24cmという寸法により、長財布・スマートフォン・ポーチといった日常の必需品が無理なく収まります。TPMでは三つ折り財布が限界のため、ここが大きな違いです。
エヴリン23とTPMの違いは何ですか?
サイズのほかに、機能面で2つの大きな違いがあります。①背面の外ポケット:23にはありますがTPMにはなく、TPMの背面はフラットな一枚革です。②ショルダーストラップ:23は長さ調節が可能ですが、TPMは固定仕様です。つまり23は、TPMを少し大きくしたというより、PMの実用性をコンパクトにまとめたサイズといえます。
エヴリン23の実測サイズを教えてください。
弊社で採寸した数値は横23cm×縦24cm、マチ約5.5cmです。なおエルメスはエヴリン23の正式な仕様を公開していないため、メディアによって数値に幅があります。上記は弊社および流通品を実測した参考値としてご覧ください。
なぜエヴリンだけ13cmもサイズの空白があったのですか?
エヴリンはもともとPM(29)とGM(33)から始まり、上方向へ展開していったコレクションです。TPM(16)はミニバッグの流行に合わせて後から加わったサイズで、その結果PMとの間に大きな穴が空きました。他コレクションが数cm刻みなのに対し、この飛び幅は異例といえます。
TPM・23・PM、どれを選べばいいですか?
普段お使いの財布を基準にするとわかりやすくなります。長財布を使い続けるなら23以上、コンパクトウォレットに切り替えてもよいならTPMも選択肢に。B5サイズやペットボトルまで収めたい方、エヴリンをメインバッグにしたい方はPMが向いています。