エルメスのバッグを選ぶ際、コレクションやカラー、素材、サイズと並んで迷う要素、それは金具です。一見すると大きな判断要素になりにくいと思われがちですが、意外にも重要なパーツです。サイズもカラーも素材も納得のいく答えを出したのに、ゴールドとシルバーが並んだ瞬間、また振り出しに戻ったような感覚になる。同じバッグのはずなのに、金具が違うだけで全体の印象が大きく変わるように見えるためです。今回はエルメスの金具について、ゴールドとシルバーをどう選び分けるか、判断の材料を整理してご紹介したいと思います。
金具表記の読み方
中古市場で商品を探していると、商品名にG金具、SV金具といった表記を見かけます。それぞれゴールド金具、シルバー金具の略で、店舗によってはGD金具、GHW、SHWと記載されることもありますが、指しているものは基本的には同じです。
GHW
なお、エルメスのシルバー金具はパラジウムめっきで仕上げられています。パラジウム金具という呼び方を見かけたら、シルバー金具のことだと考えていただいて問題ありません。
エルメスのバッグに使われる金具は、この二種類が大多数を占めます。まずはこの二択から見ていきましょう。
ゴールドとシルバーの基本
ゴールド金具

ゴールド金具は、レザーに温かみと華やぎを添えてくれます。
エルメスというブランドを思い浮かべたとき、多くの方の頭に浮かぶのはおそらくゴールド金具のバッグではないでしょうか。オレンジの箱、キャメルのレザー、そして金色の留め具。この組み合わせが持つアイデンティティは、他のどんな金具にも代えがたいものがあります。
クラシックで格調高く、装いに華を添える。フォーマルな場面での存在感は、ゴールド金具ならではです。
一方で、主張が強いぶん合わせる装いを選ぶ側面もややあります。カジュアルな服装に合わせると、バッグだけが浮いて見えることも。ここは好みが分かれるところかと思います。
シルバー金具

シルバー金具は、クールで洗練された印象を与えてくれます。
意外に思われるかもしれませんが、エルメスのバッグで流通量が多いのはシルバー金具です。ゴールドのほうが定番というイメージを持たれがちですが、中古市場ではシルバーのほうが厚みがあります。
その理由のひとつは、汎用性の高さでしょう。シルバー金具はカジュアルにもフォーマルにも馴染み、装いを選びません。ビジネスシーンでの落ち着いた佇まいも、シルバーならではです。
またパラジウムはめっきの耐久性が高く、変色や劣化に強いという実用面での利点もあります。長く綺麗な状態を保ちたい方には心強い選択肢といえるでしょう。
ゴールドに比べると華やかさは控えめですが、そのぶんレザーそのものの表情が引き立ちます。バッグの色や質感を主役にしたい方には、シルバー金具を一度検討してみるといいでしょう。
| ゴールド金具 | シルバー金具 | |
|---|---|---|
| 印象 | 温かみと華やぎ・クラシック | クールで洗練された佇まい |
| 得意なシーン | フォーマルな場面 | カジュアルからフォーマル、ビジネスまで |
| 装いとの関係 | 合わせる装いを選ぶ側面もやや | 装いを選ばない |
| レザーの見え方 | 金具が華を添える | レザーの表情が引き立つ |
| 経年・耐久性 | めっきが薄くなる・細かな傷が目立つことも | パラジウムで変色や劣化に強い |
| 流通量 | シルバーより少なめ | ゴールドより多い |
カラーとの相性で考える
金具選びで最も効いてくるのが、レザーのカラーとの組み合わせです。代表的な定番カラーで見ていきましょう。

ノワール(ブラック)は、どちらの金具とも相性のよいカラーです。ゴールドを合わせるとコントラストが際立ち、華やかで女性らしい印象に。シルバーを合わせると全体が引き締まり、モードでシャープな佇まいになります。ノワールで迷った場合は、普段どんな服装が多いかで決めるといいでしょう。

エトゥープは、グレーがかったベージュという中立的な色味です。ゴールドを合わせると温かみが加わって柔らかく上品な表情に。シルバーを合わせるとグレーの要素が強調されてクールで都会的な印象になります。同じエトゥープでも、金具で受ける印象がかなり変わる組み合わせです。

ゴールド(カラー)にゴールド金具を合わせると、色調が統一されて豪華にまとまります。エルメスらしさを最大限に感じられる王道の組み合わせでしょう。一方シルバーを合わせると、キャメルの温かみが引き締まってモダンな印象に転じます。
鮮やかなカラーの場合は、シルバー金具のほうが色を邪魔しにくい傾向にあります。色そのものを楽しみたいなら金具は控えめに。そんな考え方も1つの選択肢と言えるでしょう。
素材との相性で考える
見落とされがちですが、レザーの質感によっても金具の映え方は変わります。

エプソンのような型押し素材は、表面が硬質で光沢があります。ここに金具が乗ると輪郭がくっきりと出て、全体的な印象がシャープにまとまります。金具のディテールも際立つため、装飾性を楽しみたい方には好相性と言えるでしょう。

一方、トゴやトリヨンクレマンスのようなシボのある素材は、光を柔らかく反射します。金具との対比が穏やかになり、全体が馴染むような仕上がりに。ゴールド金具を合わせても、エプソンほど華美にならず落ち着いた印象を保てます。
つまり、ゴールド金具は少し派手かもしれないと感じている方でも、シボのある素材と組み合わせれば程よく収まります。逆に金具をしっかり主役にしたいなら、型押し素材との組み合わせが効いてくるでしょう。
コレクションによって金具が与える印象の違い

金具が全体に占める面積は、コレクションによって大きく異なります。
フロントのHバックルがデザインの核。金具の選択がバッグの印象を決定づけます。
クロア、カデナ、ハンドルの付け根と金具が複数箇所に配されています。
ケリーと同様に金具の面積が広く、選択の重みがあります。
金具の面積が控えめで、金具の違いによる印象差は比較的穏やかです。

例えばコンスタンスは、フロントのHバックルがそのままデザインの核ともいえるコレクション。金具の選択がバッグの印象を決定づけると言っても過言ではありません。ここはとくに慎重に選びたいところです。
ケリーはクロア、カデナ、そしてハンドルの付け根と、金具が複数箇所に配されています。バッグ全体における金具の存在感は大きく、フォルムの端正さを金具が支えている構造です。バーキンも同様に金具の面積が広く、選択の重みがあります。

一方、ピコタンロックはカデナが主なアクセントになっており、金具の面積は控えめ。エヴリンに至っては、留め具部分がごく小さくまとまっています。こうしたコレクションでは、金具の違いによる印象差は比較的穏やかといえます。
金具選びに迷ったときは、そのコレクションで金具がどれだけ主張するかを考えてみると、判断における重みが見えてくるでしょう。
迷ったときの現実的な判断軸
理屈で考えても決まらないときは、こんな考え方をしてみるのもおすすめです。
ひとつは、普段身につけているアクセサリーです。時計や指輪、ネックレスがゴールド系で揃っているなら、バッグの金具もゴールドにしたほうが全体の統一感が出ます。シルバー系が多い方はその逆です。バッグ単体で考えるより、身につけたときの全体像で判断するほうが、実は失敗が少ない傾向にあります。

もうひとつは、そのバッグの役割です。特別な日に持つ一本ならゴールドの華やかさが活きますし、日常の相棒にするならシルバーの汎用性に分があるでしょう。

そのうえでどうしても決まらない場合は、シルバーがおすすめです。理由は単純で、合わせられるシーンがより広いからです。流通量が多いのも、多くの方が使いやすさを選んできた結果といえるでしょう。
ゴールドとシルバー以外にも
数は多くありませんが、エルメスには他の金具も存在します。
シャンパンゴールドは、ゴールドより淡く落ち着いた色合いの金具です。華やかさを抑えたゴールドを求める方に選ばれています。
ローズゴールドは、ほんのり赤みを帯びた金具です。ピンクゴールドと呼ばれることもあり、柔らかく優しい印象を与えてくれます。
マットシルバー、マットゴールドは、それぞれの金具につや消し加工を施したもの。光沢を抑えたぶん控えめで落ち着いた佇まいになります。数が少なく、見かける機会は限られます。
このほか、細かな幾何学模様の彫りが施されたギロッシュ金具や、シルバーとゴールドを組み合わせたエレクトラム金具といった特殊な仕様も。いずれも希少性が高く、出会えたときに検討する類のものといえるでしょう。
リセールの観点から
金具の違いは、中古市場での評価にも影響します。
一般的には、ゴールド金具のほうがやや高く評価される傾向にあります。華やかさが求められる場面が多いことと、ゴールド金具を指名して探す方が一定数いることが背景でしょう。
ただし、傾向はコレクションによっても異なります。たとえばケリーの場合、弊社吉川質店の買取実績では、シルバー、シャンパンゴールド、ゴールドの順にリセールバリューが高い傾向にあります。
いずれにしても金具の違いは、カラーや素材、状態といった他の要素と比べれば小さな差です。金具だけを理由に選択を変えるほどの違いではありません。
むしろ重要なのは金具の状態です。めっきの剥がれや深い傷は評価を下げる要因になります。中古で購入する際は、レザーだけでなく金具の状態もしっかり確認しておきたいところです。
まとめ

金具は、バッグ全体から見ればごく小さな部分です。それでも印象を左右する力を持っているのは、金属の光が視線を集めるからかもしれません。
ゴールドの温かな輝きを取るか、シルバーの静かな光沢を取るか。どちらが正解ということはなく、ご自身がそのバッグとどんな時間を過ごしたいかで選ぶことをおすすめします。
決めきれないときは、ぜひ実物を並べて見比べてみてください。写真では伝わらない差が、手に取った瞬間にわかることもあります。
吉川質店オンラインショップでは、ゴールド金具・シルバー金具ともに多数のエルメスアイテムを取り揃えております。同じコレクション・同じカラーで金具違いの在庫がある場合もございますので、ぜひ見比べてみてくださいね!
Collection at Yoshikawa
吉川質店オンラインショップでは、厳選されたエルメスのアイテムを多数取り揃えております。ゴールド金具・シルバー金具を見比べながら、お気に入りの一点をお探しください。
FREQUENTLY ASKED QUESTIONSよくある質問
G金具・SV金具とはどういう意味ですか?
G金具はゴールド金具、SV金具はシルバー金具の略です。店舗によってはGD金具、GHW、SHWと記載されることもありますが、指しているものは基本的には同じです。
パラジウム金具とシルバー金具は違うものですか?
同じものを指しています。エルメスのシルバー金具はパラジウムめっきで仕上げられているため、パラジウム金具と呼ばれることがあります。パラジウムはめっきの耐久性が高く、変色や劣化に強いという利点があります。
エルメスで流通量が多いのはどちらの金具ですか?
シルバー金具です。ゴールドのほうが定番というイメージを持たれがちですが、流通量で見るとシルバーのほうが厚みがあります。カジュアルにもフォーマルにも馴染み、装いを選ばない汎用性の高さが理由のひとつと考えられます。
ゴールドとシルバーで迷ったらどう選べばいいですか?
普段身につけているアクセサリーに合わせるのがひとつの方法です。時計や指輪、ネックレスがゴールド系ならゴールド、シルバー系ならシルバーにすると全体の統一感が出ます。特別な日に持つ一本ならゴールド、日常の相棒にするならシルバーという考え方も。それでも決まらない場合は、合わせられるシーンがより広いシルバーがおすすめです。
金具の違いで印象が大きく変わるコレクションは?
フロントのHバックルがデザインの核になっているコンスタンスは、金具の選択がバッグの印象を決定づけます。ケリーもクロア、カデナ、ハンドルの付け根と金具が複数箇所に配され、バーキンも同様に金具の面積が広いため、選択の重みがあります。一方、ピコタンロックやエヴリンは金具の面積が控えめで、印象差は比較的穏やかです。
ゴールドとシルバー以外にはどんな金具がありますか?
ゴールドより淡く落ち着いた色合いのシャンパンゴールド、ほんのり赤みを帯びたローズゴールド、つや消し加工を施したマットシルバー・マットゴールドなどがあります。このほか、細かな幾何学模様の彫りが施されたギロッシュ金具や、シルバーとゴールドを組み合わせたエレクトラム金具といった希少性の高い特殊な仕様も存在します。